農協米買取価格(米概算金)だけだと米農家は潰れる

     

全国各地で、農協が米概算金を発表しているが、この金額では、米農家は潰れる

2025年8月20日の富山新聞によると、全農富山県本部は、8月19日に2025年度産米の概算金を

別添のとおり公表した。

富富富1等米 26800円

こしひかり1等米 26000円

てんたたく1等米 26000円

 

《玄米買取価格》

 全農富山県本部は、コシヒカリ1等米の価格を26000円/俵で公開した。

1反(1000m2)で採れる米の収量を6俵と仮定した場合、

農協で買い取りしてもらうと

1反当たり26000円×6俵=156,000円・・・①

 

《農協に関する経費》

農協で、苗、肥料、農薬を購入し、大型型農業機械をリースし、

収穫した籾(米)を農協のカントリーエレベーターで玄米にするまでを試算すると

農協に支払う金額は、156,847円・・・②

農協の米の買取価格①から②の経費を引くと、米農家の手元には、

①-②=-847円 赤字になることになる。

 

 

品目

単価 数量 単位 摘要
②農協に支払う経費合計 156847
苗代 900 24 21600
オペレーター賃金 1936

11

時間 21296 田植え、稲刈り
トラクターリース代 5250 7 時間 36750 4回
田植え機リース代 2975 2 時間 5950
コンバインリース代 15225 2 時間 30450
農地賃料 6900 1 6900
カントリーエレベーター 2670 3.6 100㎏ 9612
農薬(播種ルーチンブライト) 4650 1 4650
農薬(除草剤カチボシ) 3460 1 3460
農薬(ヒエクリーン) 2070 1 2070
農薬(一斉防除ラブサイドキラップ) 1990 1 1990
農薬(一斉防除ビームスタークル) 2030 1 2030
肥料(田植え時LP555-1) 4770 0.7 3339
肥料(基肥土力源) 1350 5 6750 20㎏

 

《農協が関与しない現場経費》

農協が直接関与しない現場経費を計上する。

〇畔塗 1時間

〇田植え後に、田植え機で欠損した場所の押し植え6時間(1日)

〇4週ごとの草刈り、2時間×7回=14時間

〇中耕除草 6時間×1.5日=9時間

〇田植え後、粟や稗などの除草、6時間×3日=18時間

〇日々行われる水管理30分×50日=25時間

〇その他畔の補修等 10時間

以上から83時間かかり、時給1000円とした場合83000円の賃金が発生

また、農業機械の油代、刈り払い機混合油、軽トラックなどの雑費を

15000円

農協が関与しない現場経費として

83000+15000=93000円・・・③

 

《米販売にかかる適正価格》

米販売にかかる袋代、広告費、印刷代などを②+③価格の1割とすると、

254,847×0.1=25485円・・・④

米の適正価格は、②+③+④=280,332円

1反当たり6俵(60㎏/俵)の収量であるから30㎏玄米袋に換算すると12袋

玄米30㎏当たりの玄米価格は、

280332÷12袋/30㎏=23361円

精米にすると1割減少し27㎏であり、5kg当たりの米価格は、

23361円÷27㎏ × 5kg = 4326円 ≒ 4300円

 

脇之谷内のお米の価格は、下記の通り

一般価格は、「富山県内」の価格であり

ひみ里山くらぶサポーターは、「通常里山会員県内年間契約」の金額とする。

 

《コメント》

農協に米を作って買い取ってもらっても、

③農協が関与しない耕作経費や④米販売実働経費などの経費が出ない。

田植え機、コンバイン、トラクターなどの機械を20年以上の減価償却済の機械を使っているので、

その賃金分73150円が農家の利益となるが、機械が故障したら、農家を辞める

というのが一般的な高齢農家の意見である。

ゆえに、26000円の概算金だけでは、農家は潰れる。

 

 

 

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