2025/08/28
全国各地で、農協が米概算金を発表しているが、この金額では、米農家は潰れる。
2025年8月20日の富山新聞によると、全農富山県本部は、8月19日に2025年度産米の概算金を
別添のとおり公表した。
富富富1等米 26800円
こしひかり1等米 26000円
てんたたく1等米 26000円
《玄米買取価格》
全農富山県本部は、コシヒカリ1等米の価格を26000円/俵で公開した。
1反(1000m2)で採れる米の収量を6俵と仮定した場合、
農協で買い取りしてもらうと
1反当たり26000円×6俵=156,000円・・・①
《農協に関する経費》
農協で、苗、肥料、農薬を購入し、大型型農業機械をリースし、
収穫した籾(米)を農協のカントリーエレベーターで玄米にするまでを試算すると
農協に支払う金額は、156,847円・・・②
農協の米の買取価格①から②の経費を引くと、米農家の手元には、
①-②=-847円
赤字になることになる。
品目 |
単価 | 数量 | 単位 | 計 | 摘要 |
②農協に支払う経費合計 | 156847 | ||||
苗代 | 900 | 24 | 箱 | 21600 | |
オペレーター賃金 | 1936 |
11 |
時間 | 21296 | 田植え、稲刈り ※2 |
トラクターリース代(2時間×3回+1時間×1回=7時間) | 5250 | 7 | 時間 | 36750 | ※1 |
田植え機リース代 | 2975 | 2 | 時間 | 5950 | ※1 |
コンバインリース代 | 15225 | 2 | 時間 | 30450 | ※1 |
農地賃料 | 6900 | 1 | 年 | 6900 | ※2 |
カントリーエレベーター | 2670 | 3.6 | 100㎏ | 9612 | ※2 |
農薬(播種ルーチンブライト) | 4650 | 1 | 袋 | 4650 | ※3 |
農薬(除草剤カチボシ) | 3460 | 1 | 袋 | 3460 | ※3 |
農薬(ヒエクリーン) | 2070 | 1 | 袋 | 2070 | ※3 |
農薬(一斉防除ラブサイドキラップ) | 1990 | 1 | 袋 | 1990 | ※3 |
農薬(一斉防除ビームスタークル) | 2030 | 1 | 袋 | 2030 | ※3 |
肥料(田植え時LP555-1) | 4770 | 0.7 | 袋 | 3339 | ※3 |
肥料(基肥土力源) | 1350 | 5 | 袋 | 6750 | 20㎏ ※3 |
※1:農水省H26.11.28 『農業機械をめるぐ状況』より算出
※2:オペレーター賃金、農地賃料、カントリー使用料は、氷見市農協広報誌「氷見だより」を参考
※3:農薬、肥料は、氷見市農協よりヒアリング(R7.08.27)
個人農家が籾摺りを農協に委託
カントリーエレベーターで籾摺り
《農協が関与しない現場経費》
農協が直接関与しない現場経費を計上する。
〇畔塗 1時間
〇田植え後に、田植え機で欠損した場所の押し植え6時間(1日)
〇4週ごとの草刈り、2時間×7回=14時間
〇中耕除草 6時間×1.5日=9時間
〇田植え後、粟や稗などの除草、6時間×3日=18時間
〇日々行われる水管理30分×50日=25時間
〇その他畔の補修等 10時間
以上から83時間かかり、時給1000円とした場合83000円の賃金が発生
また、農業機械の油代、刈り払い機混合油、軽トラックなどの雑費を
15000円
農協が関与しない現場経費として
83000+15000=93000円・・・③
畔塗り
押し植え
中耕除草(田車)
《米販売にかかる適正価格》
米販売にかかる袋代、広告費、印刷代などを②+③価格の1割とすると、
254,847×0.1=25485円・・・④
米の適正価格は、②+③+④=280,332円
1反当たり6俵(60㎏/俵)の収量であるから30㎏玄米袋に換算すると12袋
玄米30㎏当たりの玄米価格は、
280332÷12袋/30㎏=23361円
精米にすると1割減少し27㎏であり、5kg当たりの米価格は、
23361円÷27㎏ × 5kg = 4326円 ≒ 4300円
関東のスーパーでの米価格4399円/5㎏ 2024/02/28撮影
脇之谷内のお米の価格は、下記の通り
一般価格は、「富山県内」の価格であり
ひみ里山くらぶサポーターは、「通常里山会員県内年間契約」の金額とする。
価格の詳細は、こちらから
令和7年度産米の価格・販売(食味値91点の高評価!富山県産氷見市里山のお米)
《コメント ファーストペンギン》
農協に米を作って買い取ってもらっても、
③農協が関与しない耕作経費や④米販売実働経費などの経費が出ない。
田植え機、コンバイン、トラクターなどの機械を20年以上の減価償却済の機械を使っているので、
その賃金分73150円が農家の利益となるが、機械が故障したら、農家を辞める
というのが一般的な高齢農家の意見である。
持続可能な農村づくりには、肥料や農薬、そして何より
20年以上の農業機械を使っていることから脱却し、設備投が可能な見合った価格設定にしないと
農協の支払う概算金26000円だけでは、農協が存続するだけであり、農家は潰れる。
農家は、価格を付けるのが下手。
直売所でも相手の価格を見ながら安くして適正価格で値段を付けることはしない。
年配者の生産者の多くは、売れ残りを嫌い、嫌うからこそ、値段を安くして叩き合い、つぶしあいを行う。
NOMACHIでは、そんな高齢の農家に変わり、
価格のファーストペンギンとなり適正価格に近い値段で生産物を販売。
関係人口のファンの人々も納得して購入してくれる人が増えてきてありがたい。