地域活性化実績15年/失敗した地域おこし協力隊事例と応募前心得

     

現在多くの市町村で、平成31年度地域おこし協力隊募集が始まっている。

氷見市でも、4期生地域おこし協力隊応募を平成31年1月18日から2月15日まで行っている。

https://www.city.himi.toyama.jp/departmentTop/kikaku/kyoudou/node_44385/node_49774

 

これから、協力隊に募集する人々にとっては、どこも同じように思えるかもしれないが、

実際には、各行政によって、温度差はかなり出てきている。

その結果、地域おこし協力隊の起用に失敗した地域や行政は、

追加で地域おこし協力隊を採用していない。

では、途中で辞めたり、任期終了後地域に定住しない地域おこし協力隊は何が違うのか、

それは、応募時から3年後の自分のある姿が見えてくる。

本ブログは、地域おこし協力隊OBとして、

  • 地域おこし協力隊を希望する人々が3年後の自分の姿
  • 地域おこし協力隊を最大限活用されていない行政
  • 地域おこし協力隊の受け皿団体にはなったけど、活動が見えてない団体

の参考になれればという願いで記述した。

 

1.地域おこし協力隊になって失敗・後悔

著者自身、自ら活動しながら失敗も多く、そこから1つづつ課題解決をし、

今でもトラブルは、ありますが大きくならず常に軌道修正できるようになっています。

 

地域おこし協力隊になって失敗・後悔したと書かれたものが多数あります。

その多くは、一度も田舎に触れ合ったことのない若者が、

いきなり地域おこし協力隊として田舎に移住してきて

地域に溶け込むことが出来ずに挫折する。

都会の人々は、行政職員のサポートがあると思っているが、

実際に行政職員は、ほとんど関与していないというより、他業務があるので関与出来ない。

地域おこし協力隊を志すものとしては意外かもしれないが、

氷見市内でも私が関与している6地域の住民に聴き取り調査をしたところ、

行政職員自身が、地域に溶け込んでいない場合が目立つ。

氷見市の場合では、地域担当職員制度がある。

 ※氷見市 地域づくり策定の手引きより

上記のように区長や自治会長との話し合いの場には出ているかもしれないが、

机上理論の場だけの参画であり、

実際に活動されている地域の人々の現場に介入している行政職員は、

聴き取り調査の結果、ほぼゼロであった。

地域おこし協力隊研修において他の地域おこし協力隊研修においても

行政職員が地域に入って共同支援していることを尋ねると、参画数は少なく

結果、地域おこし協力隊が赴任して半年間程度

「何もしなかった」

と平気で言う地域おこし協力隊の数は、少なくない。

何もしなかったのは、指示待ちであり、

地域おこし協力隊自らが考えて行動を起こすことをしていない傾向が多い。

 

あらためて説明するが、

地域おこし協力隊の活動・行動は、かなり自由度が高い。

ですから、何もしなかったのは、指示を与えなかった行政だけの責任ではなく、

自らが自発的に地域に入って困りごとや共同作業を行っていれば何等かの糸口が見えているにも関わらず

地域に溶け込もうとしない地域おこし協力隊に対しても責めはあると私は考える。

ただ、1年目にやって失敗する多くのケースは、地域おこし協力隊が、

地域の人々とコミュニケーションをとらず、自ら勝手に

イベントを立ち上げ、他地域の地域おこし協力隊や一部の移住者だけで盛り上がるような

学生サークル気分での格安体験イベント。

これをやってしまうと、3年間この呪縛から解き放たれるのは、難しく

結果、任期途中で退任や、任期終了の3年後に都会に戻ってしまっている

地域おこし協力隊は、全国にごまんといる。

 

私は、1日でも早く地域に溶け込み、地域の人々と共同作業をすることを推奨する。

ミッション型地域おこし協力隊の中には、市のお手伝いをしていて、

地域に入る時間がないという場合もあるが、見方を変えると、

地域が何をして欲しいかもわからず、結果行政の雑務をするケースも多い。

そんな地域おこし協力隊は、行政が途中でミッションを変更してくれるが、

それは、行政職員が自分の評価を下げないためのものであって、

地域おこし協力隊のために行っているものではないということ。

なお、雑談参考ですが、地域としては、4月5月は多忙であり、刈り払い機を使える人は重宝する。

 

 

2.はじめに・田舎経験値

まず、始めに、私自身が、都市農村交流から2地域居住の関係人口になり、

地域おこし協力隊で移住者となったことにより、

移住者となるの概略プロフィール図で紹介します

農村観光 立ち位置      

他の地域おこし協力隊と違うのは、地域おこし協力隊になる以前から

2地域居住(関係人口)として地域に貢献して準備段階が出来てきたこと。

詳細は、著者プロフィールを参照 /profile  

 

3.異なった2つの業務活動

これまで、他の地域おこし協力隊を見ていて感じたのは、

地域に溶け込もうとする協力隊員は、自分の2地域居住の頃と大差なく、

いろいろな経験をしながら地域活性化を行っている。

けど、地域に入らず、常に市外との人々や移住者同士で纏まっている協力隊員、

特に地域課題解決型地域おこし協力隊(ミッション系)は、評価するものが

行政職員であり、成果があがらずとも損害を与えなければ、

3年間学生サークルのように楽しく過ごせることはできるが、

任期終了後その地域に残ることは、せず他の地域に移住する傾向が多い。

このことを、下記表で地域おこし協力隊制度について示す。

地域密着型地域おこし協力隊員 課題解決型地域おこし協力隊(ミッション系)
活動内容

・1次産業法人や団体に従事

・道の駅や観光協会等に在籍

・住民の生活支援

・都会へのPR(移住定住、地場産品等)

・産品開発、ブランド開発

・自立型の農業者(自然栽培、有機栽培で収益無しで農作業活動)

富山県内の地域おこし協力隊 富山市、立山町、朝日町、 富山市、氷見市、黒部市、砺波市、小矢部市、南砺市、朝日町、

 

課題型地域おこし協力隊活動の危惧

課題型地域おこし協力隊で、前職のスキルなしで、行われているのが移住定住フェアでのPR活動。

都会の多くの行政で行われているが、地域おこし協力隊になりたての人材が地域の人について語ることなど

出来ないのが当たり前で、史跡や景色、助成金等で移住定住を勧めても薄っぺらいと感じる。

やっぱり、通常の人は、仕事やそこに住む人の人間関係であり、このことを語るには、地域にしっかりと

根付いた者でしか語ることはできないので、新人地域おこし協力隊には、無理がある。

同様に、特産品やブランドに関しても、その産品の背景・物語を語ることが出来なければ、

薄っぺらいものになる。

 

 

課題型地域おこし協力隊活動の利点

氷見市は、課題解決型での活動だが、私自身は、課題解決型をしながら、地域密着型地域おこし協力隊を行ってきた。

行政も、課題解決型だけをすればよいということではなく、最低限課題解決型であり、

本人の意思と地域の要望があれば、地域密着型の業務を行うことを否定するものではない。

むしろ、意欲的な行動に奨励されると思う。

 

4.活動時間の取り扱い

地域おこし協力隊隊員で一番多い愚痴の1つに 活動時間の取り扱い がある。

他の行政の地域おこし協力隊は、

「勤務時間で、タイムカードがある。

毎回事務所に行かなければならないから、不便だ。」

それは、当然。

なぜなら、1つの地域おこし協力隊という制度に

、臨時職員と業務委託といった異なった採用方法があるからです。

地域おこし協力隊面接時応募以前に受入れ行政に確認しましょう

臨時職員扱いなら、社会保険等のサービスが受けられますが、

行政職員と変わらない規則制約がついてまわります。

その為、副業不可であったり、タイムカードを押して現場に行くなどの手間が発生する場合があります。

業務委託=個人事業主扱いなら、自己責任で活動する場合が多く、

活動時間(勤務時間)や副業に関しても、自由に扱ってくれる場合が多いです。

氷見市の場合は、市から個人個人に業務委託されます。

その業務(ミッション)を遂行することで対価が支払われる個人事業主の関係で、活動時間は、自由です。  

 

5.社会保険等の取り扱い

時間の自由に使えるのは、美味しいと思いますが、

甘い話には、デメリットもあります。

それは、社会保険や年金保険を役所が負担するか、自己負担なのか?

先に述べた臨時職員なら、行政が半額負担し、残りは給与天引き

業務委託の場合、自らが国民健康保険や国民年金を支払わなければなりません。

 

募集要項で、健康保険・年金保険・雇用保険を確認しましょう。

上記の保険料を支払ってくれる場合は、行政職員として採用です。

再度説明しますが、行政職員が朝夕に行政機関に顔を出したり、タイムカードを押すのは、当然の義務です。

活動する場所にもよりますが、3年後に地域に根付いた1次生産者になりたいのなら、

臨時職員扱いは、不便なところがあります。

農林業では、繁忙期には、夜明けとともに活動をする場合があったり、

行政に行く通勤時間の拘束が煩わしっく感じる場合があるため。 

また、希望する地域に先輩協力隊員がいる場合でしたら、

先輩協力隊員に直接相談してみるのもよいと思います。

 氷見市地域おこし協力隊は、氷見市と雇用関係がないため出勤管理がなく、

毎日の地域おこし活動を月末申告して報償費を頂きます。(地域の消防団員と同じような扱い)

よって、保険料も隊員自身が頂いた報償費の中から保険料を支払っていますので、

活動内容も受け入れ団体と調整して、 自由度は高い です。

けど、最近は、自由すぎて、

自らの活動をSNSで公開することもなく、氷見市地域おこし協力隊は、

何をしているのかわからないと言った不満をもった市民が多数いらっしゃいます。

地域おこし協力隊なら、自らの活動=地域貢献であるため

積極的に情報発信しましょう。

 雇用関係あり

(某行政)

雇用関係なし

(氷見市)
 社会保険 あり (共済保険など)  なし (国民健康保険など)
 出勤管理 あり  なし (毎日の活動報告を提出する)
 副業

準公務員であるが、非常勤の特別職の場合は、可。

ただし、準公務員なので、どんな副業でも可という訳にはならない。

 

 

6.副業が可能なのか・否か

上記2と同じですが、受け入れ行政が、協力隊員に各種保険料を支払っているところは、

行政職員と同じ処遇になるため、副業は、原則禁止です。

また、副業が可能だからといって、どんな副業でもよいわけではなく、 3年後に自分が独立出来るような

  起業プランを見据えた副業 を行ったほうがよいです

面接時にも、三年後どのような活動をしたいということで、

あらかじめ特技やスキルでの副業を行うことをアピールポイントにするのは、よいことだと思います。

(例えば、ライター、デザイナーなど都会とネットを介して出来る職業や、芸術家、造園屋、2種免許など将来地域の役に立てそうな専門分野に携わってきた事等)

私自身も、この3年間に、講演料、小学生児童の放課後教室での補助員、営農組合等での農作業補助等で副業を行いながら、

地域と密接な関係を構築してきました。

 

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氷見の道の駅で焼き芋販売しながらリサーチ

 

7.任期(3年)後の自分について

協力隊任期終了後、あなた自身が

起業家志望なのか

地元企業に就職希望なのかで

任期修了後の働き方は、違ってくると思います。

地元企業志望の場合、

任期修了後の就業については、協力隊として業務を行っていたものをそのまま継続採用されるような働き方がお勧めです。

例えば、地域にある道の駅で協力隊としての業務を行いながら、

道の駅の職員になったり、3年間で空き家を改修してゲストハウスや農家レストランを立ち上げる活動で、

そのままオーナーや社員になるなど受け入れ団体や行政が見据えた募集をする場合です。

また、実際に活動を行って地域の人々に可愛がられたら、様々な仕事があり、

協力隊の任期を終えてからも、新たに地元企業を斡旋してくれて定住する場合もあります。

 

起業家志望の人ならば、

協力隊募集要項で大まかな方向性だけが決まっていて

詳細が決まっていない条件がお勧めだと思います。

起業を目指す場合は、3年間は、あっという間に過ぎていくので、

1年目から開業のために準備を行うと日々が多忙になると思います。

3年経ってから考えるでは遅く、最低でも1年目で地域での絆を深めて、

2年目くらいから、企業にむけての準備も必要です。

業務以外のことを行う場合、些細なことでも、事前に行政職員の方に相談、連絡しましょう。

また、その活動が認められても、適宜活動内容についても報告を怠らないようにしましょう。

そして、行政職員、受け入れ団体や地域などから信頼を得るための努力を惜しまないようにしましょう。

都市農村交流・イベント体験の様子(床鍋の藁細工づくり)

 

氷見市地域おこし協力隊1期生は、

活動中のミッション 氏名 退任後の進路
都市農村交流ソーシャルプロデューサー 佐座伸介 2年目飲食店を経営するがわずか6か月で閉店。そのまま退任。
都市農村交流ソーシャルプロデューサー 釜石琢磨 退任後東京に戻る
移住定住コンシェルジュ 藤田智彦

氷見市で移住定住の委託事業を受けている

地域活性化センターに就職

移住定住コンシェルジュ 山下健太郎

とくし丸で氷見市内の中山間地域の移動販売

エコレストラン6次産業化プロデューサー 澤田典久

NPO法人速川活性化協議会で、移住交流センター ソライロオーナー

エコレストラン6次産業化プロデューサー 稲垣信志

農家

氷見市6地区での農業補助兼アドバイザー

 

氷見市地域おこし協力隊1期生は、2015年4月から2018年3月までの活動業務。

2019年1月現在、当初6名中4名が氷見市に残っている。

 

8.受け入れ先とのコミュニケーション

受け入れは、窓口となってくれる市職員の方や赴任先の人々とコミュニケーションは大事です。

2次募集のときに、地域への視察や見学がない場合、

行政側が一方的に配属先を決めいる場合もあり、

後で受入れ先とトラブルになったり、孤立する場合もあるので、

注意しましょう。

 

氷見市の2次募集では、実際に受け入れ先に見学もあり、面接時にも、受け入れ側の人たちも参加して採用を決めています。

 

筆者が、地域の住民に受け入れられ一緒に作ったキムチづくりの集合写真

 

9.受け入れ地の環境・水の確認

日本には、四季があります。寒いのが苦手な人、暑いのが苦手な人 田舎には、虫も動物もいます。

それらをちゃんと理解することは大事です。 特に、北陸の場合は、

雪の始末と水の供給源 を確認しましょう。

雪の量、降ったときの処理の仕方が出来なければ、任期を待たずに、協力隊を退任してしまう場合もあります。

また、北陸に限らず、山の険しい場所では、いまだに上水道がなく、沢の水や井戸水で生活している場所もあります。

田舎で長く使われていない空き家の場合は、水で苦労して、先住者が田舎を離れ都会に出ていくケースもあります。

水について、必ず確認することをお勧めします。

筆者が自宅の除雪をしている様子

 

10.その他

最後に私自身が、氷見市地域おこし協力隊になったことをお伝えします。

昨年私が1期生(2015年)の2次選考の面接のときに、

『氷見市の地域おこし協力隊は、落とすための面接ではなく、

応募してきた人の良さを引き出す面接です』

と言われたことは、他の地域おこし協力隊の面接にも何か所か伺いましたが、後先にも氷見市の面接だけです。

そして、当初1期生の募集枠3名から6名採用となりました。

途中1名が退任し、5名が3年間任期終了、

定住したのが4名(定住率80% ※総務省の統計方法では、途中退任した人数はカウントしない)

2期生(2016年)は、9名の採用されました。

途中3名が退任し、6名が3年目の業務遂行中、

定住予定は、未定。

2017年は、不採用。(市長選の年 この年4月新旧市長が交代しました)

2018年は、3期生は、1名の採用。

 

なぜか? 原因は、1つではなく、いろいろなことがあるのですが、ここではそれの説明を控えさせていただきます。

国の情勢から地方創生をうたい、地域おこし協力隊をやみくもに受け入れている地方自治体もあります。

そして地域おこし協力隊の制度を、安価な任期付きの労働力としか見ていない場合もあるので、

応募前に情報収集と現地確認が必要です。

自らが後悔せず、受け入れ地域にも迷惑がかからないように、複数受験することをお勧めします。  

終わりになりますが、この時期、様々な地方公共団体で募集があり、

協力隊希望者にとって、受け入れ行政先が多く、引く手あまた です。

しかし、大事な3年間を双方が無駄にしないよう、よいマッチングになるよう、

先輩協力隊として、本ブログに記述しまいた。

私のカテゴリー『20_地域おこし協力隊活動報告』を覗いていただければ、

【エコレストラン・6次産業化起業ファシリテーター】といいながら名前どおりの活動だけをするわけではないです。

その他に質問等があれば、気軽にご連絡ください。

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晴れた日は、田園越しに立山連邦が望めます

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